高温となったガス温度の測定は、燃焼プロセス及び燃焼効率を把握するうえで極めて重要なことです。 また、各種プラントが最大燃焼効率で運転されているか、熱バランスはどうか、熱回収は十分になされているかなど、安全かつ省エネルギーという観点から各種プラントの熱管理を行なう為には、正確なガス温度測定が重要です。
しかしながら、一般の熱電対により高温となったガス温度を正確に測定するにはいくつかの大きな問題があります。
仮に熱電対を高温ガス雰囲気に挿入した場合、この熱電対はガス温度と周囲物間の中間温度を指示するでしょう。むしろ測定するガスが高温になればなるだけ、周囲温度(炉壁等)に近い指示となります。
これは、高温ガス条件下では、熱電対と周囲物間の放射熱移動係数の方が、熱電対と高温ガス間の対流熱移動係数よりも極めて大きい為です。従って、熱電対指示は真のガス温度に対しおよそ100~200℃の指示誤差が生じ得ます。
サクションパイロメータは、これらの問題点を全て解決すべく開発された商品です。
サクションパイロメータでは、高温となった周囲物からの放射熱移動を防ぐため熱電対を多重構造の放射シールドで覆い、同時に熱電対への対流熱移動を稼ぐため、 測定する高温ガスを専用エジェクタユニット、或いはガス吸引ポンプにより高速で吸引し、直接熱電対でガス温度を測定します。
サクションパイロメータの精度は、測定するガスと周囲物間の温度差に大きく依存するため、精度を何℃といった形では表現できません。従って、サクションパイロメータでは、 この精度の代わりに効率(誤差の比率)で表わします。
この効率は、放射シールドの構造およびガス吸引速度に大きく依存します。
サクションパイロメータは、ステンレス鋼製の3重管水冷構造となっており、最高1600℃までの炉内雰囲気中でガス温度測定が可能です。